7 「どんなゴミか?」を判断できなければならない理由

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ここでは、実際の仕事場を想定し、廃棄物が発生してから処理するまでの間に必要なルールをお話していきます。

まず本記事でお伝えしたいことは、「なぜ廃棄物の判断が重要なのか」についてです。

想像以上に重い?ゴミを出す側の責任

会社やお店を経営している方、社内で廃棄物の担当をされている方、「排出事業者責任」という言葉をご存じでしょうか?

会社やお店、病院、学校など、業種や規模、営利・非営利問わず、事業活動によって廃棄物を排出する者を「排出事業者」とよびます。

排出事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を「自らの責任」において適正に処理しなければならないと法律で規定されています。

排出事業者の処理責任は、最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるまで、付きまとうのです。

もし、委託した廃棄物処理業者が、不適正な処理を行った場合には、排出事業者にも罰則が適用されるリスクがあります。

厳罰が科されることで知られる廃棄物処理法ですが、中でも排出事業者に関する違反の罰則は、もっとも厳しいものの一つです。

さらに、社名等が公表され、コンプライアンスを十分に果たしていない事業者として社会的な評価を落としかねません。

【参考】排出事業者責任の徹底について(環境省)

廃棄物処理業者に頼めば終わりではない!

「あとはお任せ!」・・・は通用しない

勘違いされやすいのが、「廃棄物の処理を廃棄物処理業者に依頼すれば、あとはもう関係ない」という誤った認識です。

排出事業者の処理責任は、廃棄物処理業者に廃棄物の処理を委託した場合であっても変わりはありません。

「ゴミにお金をかけられない」と言って、処理費用だけで廃棄物処理業者を選んでないでしょうか?または「昔からの付き合いだから」という理由だけで、何となく廃棄物処理業者を決めていませんか?

実はこれ「かなり危険」なことです。

廃棄物処理業者であれば、どんなゴミでも処理が許されるわけではありません。「法律で許可された種類の廃棄物だけ」処理が許されます。

仮に、廃棄物処理業者が「処理できます」と言ったとしても、許可がない廃棄物を委託した場合、罰則を受けるのは廃棄物処理業者だけでなく、排出者事業者側に及ぶのです。(「引き受けた方が悪い!」ではなく、「頼んだ方も悪い!」となります)

つまり、排出者側で、処理業者が処理できる「廃棄物の種類」を確認しておかなければならないのです。

「どんなゴミか?」判断できるようになる大切さ

種類がわからないとルールは守れない

廃棄物処理業者に処理を依頼するにあたっては、まず排出事業者自身が「廃棄物の種類」を判断できなければなりません。

では、廃棄物処理法上の「廃棄物」とはどんなものでしょうか?

家庭ごみのように、燃えるゴミ、燃えないゴミ、資源ゴミ・・・といった種類ではありません。

廃棄物処理法上の大きく4種類の廃棄物が定義されています。

・産業廃棄物
・一般廃棄物
・特別管理産業廃棄物
・特別管理一般廃棄物

それぞれの廃棄物は、さらに「細かい種類」に分けられています。

廃棄物処理業者は、この「細かい廃棄物の種類」ごとに許可を受けます。

つまり、例えば「産業廃棄物の処理業の許可をもっている」というものではなく、正しくは「産業廃棄物の●●(廃プラ、金属くずなど)の処理業の許可をもっている」ということになります。

適切な廃棄物処理業者に処理を依頼するためには、廃棄物の種類について、排出者側がきちんと理解しておかなければならないのです。

ただ、この判断が、慣れないうちはとても難しいのが事実。さらに、自治体や廃棄物の専門家でも判断が難しいケースもあるくらいです。

一般的な企業であれば、そんなに特殊な廃棄物が出ることは少ないかもしれません。

ただ日常的に発生する廃棄物。どんなゴミが出てくるかわかりません。

ルールにしたがって、廃棄物の処理ができるようになっていただければと思います。

柊木 遥太

地方自治体の技術職として、環境行政に約10年以上携わってきました。
廃棄物処理法や水質汚濁防止法などの法令に基づき、届出・許認可の審査、年間100件以上の立入検査を担当。現在は、製造業や行政、環境法令に関する知識を活かし、環境・技術系分野の専門ライターとして活動しています。保有資格:公害防止管理者(水質)、廃棄物処理施設技術管理者、危険物取扱者(甲種)など。本ブログでは、実務の現場で役立つ視点を大切にしながら、難しい環境法令を“わかりやすく・やさしく”解説しています。

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