5 ゴミ処理の流れに沿って理解する

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本サイトの目的は「仕事で使えるようになること」を目指すことです。

そこで廃棄物処理法を攻略するために、実際に現場でゴミを処理する流れに沿って関連するルールをお伝えしていきます。

無駄なく効率的に廃棄物処理法を理解できると思います。

筆者プロフィール

・廃棄物処理法の元行政担当者(元公務員技術職)
・廃棄物処理施設技術管理者の有資格者

1 ゴミの発生

廃棄物とは「物が不要になった時点から発生するもの」です。

たとえば、今目の前にパソコンがあるかもしれませんが、「もう使わない」となった瞬間から廃棄物になります。

まだ使える使えない、壊れた壊れていないは関係なく、不要となれば廃棄物になります。

不要となった瞬間から廃棄物処理法の適用がスタートします。ルールに従い適切に処理しなければいけません。

そこで廃棄物が発生してから処理するまでの間に必要なルールをお伝えします。具体的には次のルールを知らなければなりません。

(1)どんなゴミなのか?

廃棄物が発生したら、廃棄物処理法上のどんなゴミに該当するか判断しなければなりません。

もちろん家庭ごみとは違い、燃えるゴミ、燃えないゴミ、資源ゴミといった単純なものではありません。また、企業から出たゴミがすべて産業廃棄物(産廃)になるわけではありません。

具体的には、以下の3つのどれに該当します。

・一般廃棄物
・産業廃棄物
・特別管理産業廃棄物

(2)産廃の種類は?

発生したゴミが産業廃棄物であった場合、その種類(品目)は何か判断する必要があります。

具体的には、廃プラスチック、金属くず、木くずなど、20品目定められています。

詳細については、こちらの記事で解説しています。

(3)ゴミの保管のルールは?

発生した廃棄物を処理するまでの間、一定期間保管する必要があると思います。

その廃棄物の保管の方法にもルールが定められています。

2 ゴミの処理

廃棄物が発生し「どんな廃棄物か?」わかったら、次は「ゴミの処理」についてです。

多くの企業の方は、自社の廃棄物の処理を廃棄物処理業者に外部委託しているのではないでしょうか?

※もし「自社で廃棄物を処理している」という方は、廃棄物の種類や処理施設の規模によっては「廃棄物処理施設の設置許可」が必要になります。

中には「廃棄物処理業者に任せておけば問題ないでしょ?」と思っている方もいるかもしれませんが、その考えは危険です。

排出事業者責任とは?

廃棄物処理法上、廃棄物の処理責任は最後(最終処分、リサイクル)までゴミを出した企業にあるのです。

たとえば、仮に廃棄物処理業者が「処理できます」と言っても、その処理に必要な自治体の許可がなければ処理できません。そして無許可の場合は、責任が廃棄物処理業者だけでなくゴミを委託した企業にも及ぶのです。

また処理費用を安く買いたたいた廃棄物処理業者が、不法投棄した場合も同じです。その責任は、ゴミ処理を委託した企業にまで及ぶことがあります。

これを「排出事業者責任」と呼びます。

つまり、処理費用のコストや頼みやすさだけで廃棄物処理業者を決めるのではなく、きちんと廃棄物処理法のルール上問題ないことを企業側が確認する必要があるのです。

また外部委託する場合に、法律上必要な手続きがあります。

そこで実際に廃棄物を(外部委託により)処理する場合に必要なルールをお伝えします。具体的には次のルールになります。

(1)廃棄物処理業者の選び方?

廃棄物の処理を委託する廃棄物処理業者は、どのように選べばよいでしょうか?

まずは大前提として、処理したい廃棄物の処理業の許可を持っている業者でなければなりません。

1つの許可だけで、何でも処理できるオールマイティなものは存在せず、それぞれのケースに合った許可を持っている必要があります。

具体的には「廃棄物の処理」といっても3種類あります。

・収集運搬
・中間処理

最終処分

つまり、ゴミを引き取りに来て運ぶ業者と、破砕や焼却、埋め立てなど処分する業者です。

これらはルール上それぞれ全く別の許可になります。

さらに、廃棄物の種類(一廃か産廃か?その品目は?)によっても許可の中身が異なります。

廃棄物処理業者を選定するにあたっては、ゴミを出す企業側がきちんと許可内容を確認しなければならないのです。

(2)委託契約のルール

廃棄物処理業者が決まったら、廃棄物処理の委託について契約を結ばなければなりません。

どんなに信頼のおける業者でも、処理する量が少なくてもです。

委託契約に当たっては、以下のルールが規定されています。

・収集運搬業者、処分業者それぞれと契約を結ばなければならない(二者契約)
・口頭ではなく書面で契約すること
・法定記載事項を記載すること
・契約書に(廃棄物処理業の)許可証等の写しが添付されていること
・5年間保存すること

(3)マニフェストのルール

無事契約が済んだら、いよいよ処理スタートです。

収集運搬業者が取りに来たら「あとはよろしく!」では済みません。廃棄物が最後まできちんと処理されたか、いつ処理されたか、排出事業者が確認しなければならないのです。

そのためのルールが「マニフェスト」とよばれるものです。

マニフェストには、書類(紙)と電子があり、いずれかを選び必要があります。マニフェストにも、書き方や保存のルールが定められていますので、しっかりと理解しておく必要があります。

詳細については、こちらの記事で解説しています。

(4)ゴミ処理完了後に必要なルール

最終処分(またはリサイクル)したことを示すマニフェストが、手元に戻ってきたら、ひとまず無事処理完了です。

しかし、マニフェストを交付した場合、後日、行政に報告する義務があります。具体的には、前年度1年分の交付状況について『産業廃棄物管理票交付等状況報告書』を作成し、翌年度の6月30日までに都道府県知事等へ提出します。

まとめ

廃棄物処理法を攻略するには、実際のゴミ処理の流れに沿ってルールを理解することが一番です。

本記事は、ダイジェストでまとめたものですので、別途詳細を書いた記事をご覧いただけると、完全に攻略できると思います。

以下、本記事のまとめです。

1 ゴミの発生
・廃棄物とは物が不要となった時点から発生するもの
・廃棄物発生したら、ルール上どんな廃棄物に該当するか判断する
・産廃の場合、どんな産廃の種類か判断する
・処理するまでの廃棄物の保管にもルールがある
2 ゴミの処理
・廃棄物を出した企業には、処理が完了するまで責任がある
・委託する廃棄物処理業者には、内容に合った許可が必要
・委託にあたっては、廃棄物処理業者と委託契約を書面で結ぶ
・処理するにあたってマニフェストを交付する
・マニフェストを交付したら、年に1回行政に報告する

【執筆者 プロフィール】
元技術系公務員のフリーライター。大手製造業で開発業務を経て、公務員の技術職へ。水質汚濁防止法や廃棄物処理法の担当者として、多くの事業場に立入検査や届出審査を行ってきた。公害防止管理者(水質第1種)、廃棄物処理施設技術管理者などの資格を保有。現在は、ライターに転向し、ビジネス系のWEBメディアや製造業者のWEBサイトなどの記事を執筆中。

元行政職員。主に環境行政を担当し、環境法令に基づく届出や許認可の審査、また年間100社以上の工場や事業場への立入検査をしてきた実務経験があります。公害防止管理者などの国家資格有り。環境法令について、実務を担う方などがわかりやすく学べるようやさしく解説しています。

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