感情の分類と分析。意外と知らない「一番望ましい感情」とは?【知って得するブッダの知恵】

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普段、自分の感情をどれくらい意識していますか?
感情の種類を理解すると、気分の浮き沈みにメリハリがつきやすくなり、喜びや楽しさを増やし、怒りや悲しみを減らすことができます。つまり、幸福感を高める第一歩になるのです。

今回参考にしたのは、草薙龍瞬さん著『これも修行のうち』(KADOKAWA)。ブッダの知恵が凝縮された一冊です。

望ましい感情は、単なる『喜び』や『楽しさ』とは違う?

「幸せになれる感情」と聞くと、多くの人は「喜び」「楽しい」「おもしろい」「好き」といったポジティブな感情を思い浮かべるでしょう。

しかし、ブッダの視点では必ずしもそうではありません。

一見ポジティブな感情も、追い求めすぎると逆に不満や不安を生み出す原因になるのです。なぜそう言えるのでしょうか。

感情の種類は心理学でもさまざま

心理学では、感情の分類について多くの学説があります。
その代表例が心理学者ロバート・プルチックによる 「感情の輪」

彼は人間の感情を以下のように整理しました。

  • 基本感情(8種類):喜び・信頼・恐れ・驚き・悲しみ・嫌悪・怒り・予期
  • それぞれに「強い感情」「弱い感情」「反対の感情」が存在
  • 応用感情(24種類):基本感情の組み合わせから生まれる(例:喜び+信頼=愛、恐れ+驚き=畏敬)

(基本感情)

基本感情強い感情弱い感情 反対の基本感情
喜び (Joy)恍惚 (Ecstasy)平穏 (Serenity) 悲しみ (Sadness)
信頼 (Trust)感嘆 (Admiration)容認 (Acceptance) 嫌悪 (Disgust)
恐れ (Fear)恐怖 (Terror)心配 (Apprehension) 怒り (Anger)
驚き (Surprise)驚嘆 (Amazement)動揺 (Distraction) 期待 (Anticipation)
悲しみ (Sadness)悲痛 (Grief)憂い (Pensiveness) 喜び (Joy)
嫌悪 (Disgust)憎悪 (Loathing)退屈 (Boredom) 信頼 (Trust)
怒り (Anger)激怒 (Rage)煩さ (Annoyance) 恐れ (Fear)
予期 (Anticipation)警戒 (Vigilance)興味 (Interest) 驚き (Surprise)

(応用感情)

応用感情構成反対の感情構成
楽観 (Optimism)期待 (Anticipation) + 喜び (Joy)失望 (Disappointment)驚き (Surprise) + 悲しみ (Sadness)
希望 (Hope)期待 (Anticipation) + 信頼 (Trust)不信 (Unbelief)驚き (Surprise) + 嫌悪 (Disgust)
不安 (Anxiety)期待 (Anticipation) + 恐れ (Fear)憤慨 (Outrage)驚き (Surprise) + 怒り (Anger)
(Love)喜び (Joy) + 信頼 (Trust)自責 (Remorse)悲しみ (Sadness) + 嫌悪 (Disgust)
罪悪感 (Guilt)喜び (Joy) + 恐れ (Fear)羨望 (Envy)悲しみ (Sadness) + 怒り (Anger)
歓喜 (Delight)喜び (Joy) + 驚き (Surprise)悲観 (Pessimism)悲しみ (Sadness) + 期待 (Anticipation)
服従 (Submission)信頼 (Trust) + 恐れ (Fear)軽蔑 (Contempt)嫌悪 (Disgust) + 怒り (Anger)
好奇心 (Curiosity)信頼 (Trust) + 驚き (Surprise)冷笑 (Cynicism)嫌悪 (Disgust) + 期待 (Anticipation)
感傷 (Sentimentality)信頼 (Trust) + 悲しみ (Sadness)病的状態 (Morbidness)嫌悪 (Disgust) + 喜び (Joy)
畏敬 (Awe)恐れ (Fear) + 驚き (Surprise)積極性 (Aggressiveness)怒り (Anger) + 期待 (Anticipation)
絶望 (Despair)恐れ (Fear) + 悲しみ (Sadness)誇り (Pride)怒り (Anger) + 喜び (Joy)
恥 (Shame)恐れ (Fear) + 嫌悪 (Disgust)優位 (Dominance)怒り (Anger) + 信頼 (Trust)

(引用:感情の一覧 – Wikipedia )

※さらに感情の種類について詳しく知りたい場合はこちらの書籍がおすすめです

ブッダのシンプルな分類

一方でブッダは、人間の感情を次の3種類に整理しました。

①快・・・好き、楽しいなどポジティブな反応
②不快・・・嫌い、悲しい、怒りなどネガティブな反応
③快でも不快でもない・・・感情がない

非常にシンプルですが、ここに大きな智慧があります。

本当に望ましい感情とは?

一般的には「快=望ましい感情」と考えられます。

しかしブッダは、「快を求めすぎることこそ、不快を生む原因になる」と説きました。

快の感情は一時的で、欲求が満たされなければ不満が残り、満たされても新しい欲求が生まれます。追い求め続ける限り、満足は長続きしません。

そこで大切なのは、「快にとらわれすぎないこと」

最も望ましいのは、③の「快でも不快でもない」状態──つまり、心に苦痛や執着がなく、穏やかで自由な心です。

つまり、何かに執着していたり、わだかまりがあったりしない状態

心地よさとしての快です。

人間にとっては、悩み苦しんだりしていない状態が、一番幸せだってことをご理解いただければと思います。

まとめ

  • 心理学では感情を8つの基本感情や24の応用感情として分類できる。
  • ブッダは感情を「快・不快・どちらでもない」の3つにシンプルに整理した。
  • 本当に望ましいのは「快に執着せず、苦痛がない心の状態」。

感情の仕組みを理解し、とらわれすぎない視点を持つことが、日常の幸福感を高めるヒントになるのではないでしょうか。

(参考)さらに学びたい方におすすめの本

感情の種類や扱い方をもっと深く学びたい方に、参考になる本を3冊ご紹介します。

『感情の正体』(渡辺 弥生 著)

最新の心理学と脳科学から感情を解説する入門書。感情の仕組みを体系的に理解したい方におすすめです。

『ゾーンに入る EQが導く最高パフォーマンス』(ダニエル・ゴールマン 著)

感情知能(EQ)の力を活かし、集中力と成果を高める方法を解説。仕事や学びに感情を役立てたい方にぴったりです。

『心の知能指数を高める習慣』(三浦 将 著)

EQを高め、日常生活で感情を上手に扱う習慣を紹介。人間関係や自己成長に役立てたい方におすすめです。