【元技術公務員が解説】産業廃棄物のマニフェストが不要のケースとは?

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「産業廃棄物を処分する際に、『マニフェスト』が要らないケースって、どんな場合なの?」

TAROさん
TAROさん

今回はこんな疑問にお答えします

例えば、こんな方におすすめです
・産業廃棄物のマニフェストが不要なケースとその根拠を知りたい方
・法律や自治体のサイトを見てもよくわからない方
・企業で、新しく廃棄物の担当者になった方
・廃棄物処理法について知りたい方  など

TAROさん
TAROさん

ちなみに筆者の私ですが、こんなキャリアがあります。

・廃棄物処理に関する許認可の審査担当(元公務員技術職)
・廃棄物処理施設技術管理者の有資格者

さらに本記事は、信頼性を保つため、環境省や自治体の一次情報を基本としています。

この記事を読み終わった後は、マニフェストが不要なケースは何かわかるようになっていると思います。
※なお、実際の法的な解釈は自治体の判断により分かれることがありますので、お住いの自治体にご相談ください。

  • マニフェストが必要なケース
  • マニフェストが不要なケース

そもそもマニフェストが必要なケースは?

念のためマニフェストが必要なケースの確認です。

※不要な場合は、読まずに先にお進みください。

廃棄物処理法 第十二条の三[抜粋]

その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者(中間処理業者を含む。)は、その産業廃棄物(中間処理産業廃棄物を含む。第十二条の五第一項及び第二項において同じ。)の運搬又は処分を他人に委託する場合環境省令で定める場合を除く。)には、環境省令で定めるところにより、当該委託に係る産業廃棄物の引渡しと同時に当該産業廃棄物の運搬を受託した者(当該委託が産業廃棄物の処分のみに係るものである場合にあつては、その処分を受託した者)に対し、当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量、運搬又は処分を受託した者の氏名又は名称その他環境省令で定める事項を記載した産業廃棄物管理票(以下単に「管理票」という。)を交付しなければならない。

法律の原文ですが、このままだとわかりずらいので分解してみます。

誰が?
⇒事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者
つまり、産廃を出した会社やお店などの事業者(排出事業者)のことですね。

いつ?どんな時?
⇒産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合
つまり、収集運搬業者に産業廃棄物を引き渡すときですね。ここで「環境省令で定める場合を除く。」とありますが、これが不要なケースです(後段で解説します)。

何を?
⇒産業廃棄物管理票(マニフェスト)

どうする?
⇒交付しなければならない。

※マニフェストについて簡単におさらいしたい方はこちらの記事をどうぞ。
【初心者向け】産業廃棄物のマニフェストとは?実務経験者がその流れや書き方を簡単に解説!

マニフェストが不要なケースとは?

上記にある「環境省令」にマニフェストが不要なケースが規定されています。環境省令とは廃棄物処理法施行規則のことで、具体的には規則第8条の19のこと。

廃棄物処理法施行規則

第八条の十九 法第十二条の三第一項(法第十五条の四の七第二項において準用する場合を含む。以下同じ。)の環境省令で定める場合は、次のとおりとする。

一 市町村又は都道府県(法第十一条第二項又は第三項の規定により産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分をその事務として行う場合に限る。)に産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合

二 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十六号)第二十条第二項の規定により国土交通大臣に届け出て廃油処理事業を行う港湾管理者又は漁港管理者(廃油(同法第三条第十三号に規定する廃油をいう。以下この号及び第十一号において同じ。)の収集若しくは運搬又は処分を行う場合に限る。)に廃油の運搬又は処分を委託する場合

三 専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集若しくは運搬又は処分を業として行う者に当該産業廃棄物のみの運搬又は処分を委託する場合

四 法第十五条の四の二第一項の認定を受けた者(資源として利用することが可能な金属に係る当該認定を受けた者を除く。)に当該認定に係る産業廃棄物の当該認定に係る運搬又は処分を委託する場合

五 法第十五条の四の三第一項の認定を受けた者(その委託を受けて当該認定に係る産業廃棄物の当該認定に係る運搬又は処分を業として行う者(同条第二項第二号に規定する者である者に限る。)を含む。)に当該認定に係る産業廃棄物の当該認定に係る運搬又は処分を委託する場合

六 第九条第二号の指定を受けた者に当該指定に係る産業廃棄物のみの運搬を委託する場合

七 第十条の三第二号の指定を受けた者に当該指定に係る産業廃棄物のみの処分を委託する場合

八 (産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分をその業務として行う場合に限る。)に産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合

九 運搬用パイプライン及びこれに直結する処理施設を用いて産業廃棄物の運搬及び処分を行う者に当該産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合

十 産業廃棄物の輸出に係る運搬を行う者に本邦から輸出の相手国までの産業廃棄物の運搬を委託する場合

十一 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第二十条第一項の規定により国土交通大臣の許可を受けて廃油処理事業を行う者(廃油の収集若しくは運搬又は処分を行う場合に限る。)に同法第九条第三項に規定する外国船舶(専ら本邦の各港間又は港のみを航行するものを除く。)において生じた廃油の運搬又は処分を委託する場合

・・・と規則には書かれているのですが、不要なケースとは、国や自治体へ委託や特殊なケースに該当する場合ですが、基本的には「再生利用が確実なもの」です。

そもそもマニフェストは、産業廃棄物が最後まで確実に処分されたか管理するもの。

なので、一般的に、再生利用されるのが確実といえるような場合は、マニフェストで管理しなくても、不適正な処理は行われないだろうというものなのです。

あらためて規則を噛み砕くと、こうなります。

1.市町村又は都道府県に産業廃棄物の処理を委託する場合

2.廃油処理事業を行う港湾管理者または漁港管理者に廃油の処理を委託する場合

3.古紙や鉄くずなど専ら再生利用の目的となる産業廃棄物(専ら物)の処理を行う業者に専ら物の処理を委託する場合

4.再生利用認定制度や広域認定制度により環境大臣の認定を受けた者に、その認定品目にある産業廃棄物の処理を委託する場合

5.再生利用に係る都道府県知事の指定を受けた者に、その指定品目にある産業廃棄物の処理を委託する場合

6.運搬用パイプラインや、これに直結する処理施設を用いて産業廃棄物の処理を行う者に処理を委託する場合

7.産業廃棄物を輸出するため運搬を行う者に、わが国から相手国までの運搬を委託する場合

8.海洋汚染防止法の規定により許可を受けて廃油処理事業を行う者に、外国船舶から発生した廃油の処理を委託する場合

正直、大分限定的な気がしますので、やはり産業廃棄物を処分するほとんどのケースでは、マニフェストをきちんと交付することが多そうですね。

まとめ

産業廃棄物のマニフェストの不要なケースについてわかりましたでしょうか?

廃棄物に関する規則は、非常に難解であり、わかりずらい部分もあり、また罰則も厳しいものです。これらはすべて「廃棄物処理法」という法律に定められているので、必ず確認してください。

TAROさん
TAROさん

最後までご覧いただきありがとうございました。

元行政職員。主に環境行政を担当し、環境法令に基づく届出や許認可の審査、また年間100社以上の工場や事業場への立入検査をしてきた実務経験があります。公害防止管理者などの国家資格有り。環境法令について、実務を担う方などがわかりやすく学べるようやさしく解説しています。

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