ノーベル化学賞候補の研究「MOF」とは「活性炭よりすごくて環境にやさしい素材」

やさしい環境と化学

毎年ノーベル賞の時期が近付くと、関連するニュースが報道されますが、「ノーベル化学賞」の候補にあがっている研究内容の中に「MOF」という専門用語が出てきます。

今回はMOFについて、理系でなくてもわかるようにまとめてみました。

MOFとは?

MOFとは、「金属-有機構造体(metal-organic framework)」(通称「モフ」)と呼びます。

ナノレベル(10億分の1メートル)で金属と有機物(炭素など)が合体したもの。

ポイントは、その「合体の仕方」とそれによって「得られる効果」

これがMOFのすごいところです。

ジャングルジムのような均一な構造

公園にある「ジャングルジム」のように規則正しく合体できるんです。

つまり「構造が均一」だということ。

そして重要なのは、その骨組み(フレーム)というよりは、骨組みの間の隙間(空間)です。

この「空間が均一」であるということに非常に価値があるんです。

いろんなデザインができる

さらにジャングルジム以外の規則正しい構造も簡単に作れてしまうんです。

たとえば立方体であったり、八角形のハニカム構造など、バリエーションは豊富に。

つまり、このメリットは、「空間のサイズのバリエーションが豊富」だということです。

「空間が均一で、そのサイズが豊富に作れる」・・・それだと何がいいの?

TAROさん
TAROさん

それでは次に「空間の効果」を解説します

「空間」の効果!活性炭よりすごい!

活性炭は聞き覚えのある方も多いと思いますが、冷蔵庫などに入っている消臭剤です。

そもそも「なぜ」活性炭に消臭効果があるというと、

活性炭の表面に小さい無数の穴(空間)があり、そこに臭いの物質がくっつくためなんです。

これは言い換えると、表面積が大きいほどこのような効果が得られるのですが、

実はこのMOFは、活性炭の何倍も表面積が大きいのです。

具体的にいうと、1gの活性炭とMOFがあるとします。その表面積は、

活性炭・・・800から2000㎡

MOF ・・・7000㎡

たった1gですよ。

ちなみに7000㎡とは「サッカー場一面の広さ」です

MOFの特徴

空間のすごさがわかったところで、このMOFの3つの特徴をご紹介します。

貯蔵

MOFの空間の中に、水素やメタン、二酸化炭素などを吸着させることができます。

水素は、燃焼した際に発生するのは、ただの水なので、ガソリンと違い、二酸化炭素を発生しない
クリーンなエネルギーとして注目されています。

しかし、ガス状であり、なかなか液化が難しいので、運搬性がよくないのです。

この時MOFを使えば、通常より多くの水素を貯蔵でき、言い換えれば、
これまで以上に省スペースで貯蔵することができます。

分離

いろんな物質が混ざっているところから、

目的の物質だけを空間に吸着させることで分離することができます。

空間のサイズのバリエーションを豊富にできることが、こういうところに活きてきます。

ちなみに活性炭は、空間のサイズが均一ではなく、いろいろな分子を同時に吸着させてしまいます。

変換

MOFの中にある金属を触媒として作用させることができます。

つまり特定の物質を空間に吸着させて化学反応を起こし、別の物質に変換することができます。

こちらはまだ実用化には至っていないようですが、

例えば、地球温暖化の原因である二酸化炭素を、燃料などになるメタノールに変換することも可能になるかもしれません。

MOFの発明者

MOFの発明者は、京都大学の北川進特別教授という方です。

この方は毎年、ノーベル化学賞の有力候補に挙げられています。

ちなみにMOF自体は、1997年には発見していたようです。www.icems.kyoto-u.ac.jp

以上、MOFについて特徴を説明しましたが、いかがでしたでしょうか?

専門的な話でしたが、こういった化学の力が、世の中の便利なモノやサービスに貢献していることを覚えておきたいものです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

(参考)

www.icems.kyoto-u.ac.jp

【執筆者 プロフィール】
元技術系公務員のフリーライター。環境リサイクルが専門。環境に関する法律や国の政策を、一般の方でもわかるように解説するのが得意。公害防止管理者(水質第1種)、廃棄物処理施設技術管理者。

某国立大学院の工学研究科応用化学専攻修了後、大手製造業で電子材料の製造開発業務に従事。その後、公務員技術職に転職し、水質汚濁防止法や廃棄物処理法など環境分野の実務を10年以上経験。2022年4月からライターとして独立。

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