【元技術公務員がわかりやすく解説】TCFDのキホンが5分でわかる!

やさしい環境と化学

SDGs、カーボンニュートラル、ESG・・・なぜ脱炭素の話は「カタカナ・横文字」ばかりなのか。TCFDもなんだか難しそう。

TAROさん
TAROさん

TCFDと聞いてピンとこないあなたに、元技術公務員の私がわかりやすく解説いたします

正直「TCFDとは何か?」の情報は巷にあふれかえっています。ただどれも、国の情報を素直にそのまま書いていることが多いので、いまいちピンとこないことはないでしょうか?

そこで今回は、TCFDの基本をできるだけわかりやすく記事にまとめました。これを読めば、TCFDの全体の輪郭がイメージしやすくなり、どこがポイントかわかるようになります。できるだけ他とは違う言い回しでの解説をしてみましたので、ぜひ参考にしてください。

TCFDとはズバリ!「気候変動にどう対処していくか開示すること」

TCFDの正式な定義は後述しますが、趣旨をざっくりというとこうなります。

ポイントは「気候変動」「財務影響」「開示」の3つです。

「それくらいはわかってるよ・・・」という方は、これ以上この記事を読んでも時間がもったいないので、国の示す一次情報を見て、TCFDの取組みを進めていただければと思います。

地球温暖化が騒がれていますが、怖いのは温暖化ではなく、温暖化による「気候変動」です。

この「気候変動」が私たちの生活を脅かし、同時に企業にとっては事業活動に多大な影響を及ぼす恐れがあるのです。

そしてこの話は、遠い将来の話ではなく、もうすでに現在の話。近年多発する自然災害を見れば、誰しも体感として理解できると思います。

それでは質問です。

「すでに起こり始めている気候変動のリスクに対して、あなたの会社はどう対処しますか?」

この答えを、ルールに従ってまとめ、開示すればいいのです。

TCFDではなぜ開示が必要なのか

「気候変動のリスクに対して対処する必要性はわかったけど、なぜ開示しなければならないの?」

この問いに関するポイントは「投資家」「金融機関」です。

なぜ自分の会社の気候変動対策をわざわざ開示する必要があるのか?それは「この会社、将来の気候変動のことちゃんと考えてる?」か「投資家」と「金融機関」が判断するためです。

急に、お金のにおいがしてきたね

どうしても企業にとって、投資家や金融機関とは切っても切れない関係だと思います。投資家などの立場からすれば、「気候変動への対策何も考えていないの!?」という企業に果たして安心して投資や融資などができるものか・・・という話です。

TCFDとは金融機関の組織

実はTCFDというのは、もともと金融システムを安定化するための国際的な金融機関の「組織」のことなんです。

TAROさん
TAROさん

「TCFD」とは組織のことだったんですね。

TCFDとは?

TCFDとは、Task Force on Climate-related Financial Disclosuresの略であり、訳すと「気候関連財務情報開示タスクフォース」になります。

企業等に対して気候変動による事業へのインパクトや、財務上の影響の開示を求める国際的な組織のことです。

TCFDは2015年にG20からの要請を受け、金融安定理事会(FSB)により民間主導のタスクフォースとして、設置されました。

ちなみに、
・「Task Force」(タスクフォース)とは、プロジェクトチームとほぼ同義です。ある目的によって集められた組織のことで、より緊急性が高い場合に使うようです。
・「Climate-related」は気候関連
・「Financial」は財務
・「Disclosures」は情報開示

TCFD提言とは?

TCFDが組織の名前とわかったところで、「TCFD提言」という言葉も目にすることはないでしょうか?

TCFDとTCFD提言が、混同して使われてることも見かけますが、厳密にいえば、TCFDという組織が、自主的な情報開示のあり方に関する提言をしたものをTCFD提言といいます。

このTCFD提言に開示内容などさまざまな規定などが盛り込まれていのです。

環境省 TCFDの概要資料

プライム市場の上場企業の開示は実質義務化

さてTCFD提言では、あくまで自主的な情報開示を求めるものです。しかし、プライム市場に上場している大企業は、東証によって、TCFDによる開示が実質義務になっています。

なので、大企業のホームページなどを見ると、TCFDに関する情報が掲載されています。

「気候変動リスク開示へ プライム企業、戸惑いも―東証再編」(一部抜粋)

東証は4月4日の市場再編で、最上位「プライム市場」の上場企業に対し、気候変動関連の事業リスクを国際的な枠組みに沿って開示するよう求める。世界の機関投資家の関心に応え、資金を呼び込むのが狙い。大企業を中心に準備が進むが、「ハードルが高い」と悩む中堅企業も少なくない。東証は昨年、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)を改訂し、プライム企業に対し主要国の金融当局による作業部会「TCFD」の提言に基づく気候変動関連の開示を要請。3月期決算企業は今夏、東証に初の報告を行う見込みで、開示しない場合は理由の説明を求められる。(以下省略)

2022年04月03日 時事通信 https://www.jiji.com/jc/article?k=2022040200466&g=eco

ちなみに、日本の企業のTCFD賛同数は、現在世界NO.1です。

TAROさん
TAROさん

関心の高さが伺えますね。

経済産業省 TCFD開示を巡る現状と課題

TCFDの中小企業への影響は?

では大企業以外は義務ではないから開示しなくても関係ないのか?

その答えはNOです。

近年のカーボンニュートラルの取組みでもそうですが、大企業自身だけが気候変動対策に取組めばいいのではなく、関連する上流から下流までの企業、つまりサプライチェーン全体で取組むことが、大企業には求められるのです。

つまり、TCFDに沿った開示がされていない企業とは、お付き合いしない大企業も出てくる可能性もあります。

ただこのように書くと、なんだかやらされ感というか後ろ向きな態度に聞こえてしまうかもしれませんが、実はそうでもありません。

過去に行ったアンケート調査では、すでにTCFDの情報開示を行っている機関の9割以上はメリットを感じています。

例えば、

  • 投資家や金融機関との関係向上に役立った
  • 気候関連のリスクと機会について社内の理解が深まった

経済産業省 TCFD開示を巡る現状と課題

さらに、大企業でのTCFD対応は一部義務化されているため取組み企業の数も多いのですが、中小企業の数はまだまだ。

積極的に取り組むことで企業のPRになり、結果的にビジネスチャンスが拡大することも十分考えられます。つまり差別化のチャンスでもあります。

さらに将来自分の会社が何十年、何百年と継続するためには、気候変動に対応した事業経営は避けて通れません。

投資家のため金融機関のため、取引先の大企業のため、といいながらも、結局は、自分の会社のためなんですね。

【参考】環境省「中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック」はこちら

TCFDとCSRなどの環境報告書とは何が違うのか?

これまでのCSRなどは、各企業が環境に対して良い活動を行った報告を自由にに行うものでしたが、TCFDは「報告すべきもの」が決まっています。そのルールに従って報告、開示が必要です。

さらに環境と一言で言っても、CSRは企業周辺の清掃活動など幅広く対象がありましたが、TCFDはあくまで気候変動に対するもの。ここが大きな違いかと思います。

ただ共通する部分もあると思うので、有効に利用していきたいものです。

TCFDの具体的な開示内容は4つ。「シナリオ分析」が肝。

ではTCFDにしたがって気候変動対策をいざはじめ、開示しようとなったとき、どうすればいいのか?

具体的に開示する内容は次の4つになります。

経済産業省 開示推奨項目

1 ガバナンス

ガバナンスとは、そもそも統治、支配、管理を示す言葉であり、企業の管理体制について開示するものです。

つまり、企業内の一部の部署だけが行うというのではなく、取締役会など経営陣による管理体制が確立されているかがポイントになります。

環境省 TCFDの概要資料

2 戦略(シナリオ分析)

気候変動はリスクではあるものの、ビジネス上のチャンス(機会)と捉えることもできます。

そのリスクと機会に対して、短期、中期、長期における自社のビジネス戦略や財務計画に及ぼす影響を説明することが求められます。

特に「シナリオ分析」といって、気候変動による気温の上昇が2℃となった場合のシナリオを立てて、どう対応していくかを説明しなければなりません。

シナリオ分析のゴールは「気候変動課題の対応」「企業価値の向上」の同時実現です。

このシナリオ分析がなかなか難しく、一朝一夕にはいかないと思うので、まずは情報収集など理解を深めていくことをおススメします。

環境省 TCFDの概要資料

3 リスク管理

リスク管理とは、気候関連のリスクについて組織がどのように識別・管理・評価しているかについて開示するものです。

組織が気候関連のリスクを、まずどう識別していくのか、そしてそれをどう管理していくのか、さらにその評価をどうするのか、プロセスの説明が求められます。

これだけだと中々イメージがわかないと思うので、他社の事例を参考にするといいでしょう。

環境省 TCFDの概要資料

4 指標と目標

指標と目標は、気候関連のリスクや機会を評価する場合に、どんな指標と目標を用いるのか開示するものです。

例えば、温室効果ガス排出量の場合には、GHGプロトコルというものがあり、指標を何にするか、目標をどうするか求められます。

GHGプロトコルなどは、TCFDによらず、カーボンニュートラルへの対応の際によく出てくる用語です。

TAROさん
TAROさん

脱炭素は幅広く勉強する必要がありますね

環境省 TCFDの概要資料

まとめ

TCFDの概要について、イメージがわき、何をすべきか見えてきたでしょうか?

はじめてTCFDという言葉や中身を見た時は、「何となく難しそう」と印象を受けたかもしれませんが、結局は「気候変動に対する対応を説明できるかどうか」。

ある程度全体の輪郭を見えてきたところで、国の一次情報などを参照としながら、取り組みを進めていただければと思います。

TCFDに関する具体的な事例もたくさん公表されていますので、参考にしつつ、まずはできるところからはじめてみてはいかがでしょうか。

参考図書

TCFD提言の原文や、環境省や経産省によるガイドラインなど、ネットで情報が開示されているため、これらの一次情報を参考にするのが基本です。

ただ最初の頃は特に、難しい用語や聞き慣れない用語が出てきたり、取っつきにくいのも確かです。そういう場合は、体系的にポイントがまとめられている市販の本から入るといいでしょう。

  • TCFDの実務者向けの本
  • 脱炭素経営に関する売れている本
  • これから勉強する人のための人気の入門本
TAROさん
TAROさん

最後までご覧いただきありがとうございました。

【執筆者 プロフィール】
元技術系公務員のフリーライター。環境リサイクルが専門。環境に関する法律や国の政策を、一般の方でもわかるように解説するのが得意。公害防止管理者(水質第1種)、廃棄物処理施設技術管理者。

某国立大学院の工学研究科応用化学専攻修了後、大手製造業で電子材料の製造開発業務に従事。その後、公務員技術職に転職し、水質汚濁防止法や廃棄物処理法など環境分野の実務を10年以上経験。2022年4月からライターとして独立。

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