気候変動に関するニュースのご紹介です。(2023.10.12)
※上記の画像はイメージです。
どんなニュース?
セイコーエプソン株式会社(以下 エプソン)は、気候変動に対する世界的な関心度を理解するため、39の国と地域で意識調査を行いました。その結果についてのニュースです。
調査対象
世界39の国・地域に住む16歳以上の人
【北米・南米】アメリカ、カナダ、ブラジル、メキシコ
【欧州】イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、トルコ、ベルギー、オランダ、ノルウェイ、フィンランド、スウェーデン、デンマーク、ポーランド、チェコ、ルーマニア、ハンガリー、ギリシャ、セルビア、リトアニア
【アジア・オセアニア】シンガポール、インドネシア、日本、中国、韓国、台湾、インド、オーストラリア
【中東・アフリカ】モロッコ、チュニジア、南アフリカ、イスラエル、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト、ケニヤ
調査人数
30,294人
(内訳)インド=3,000人、中国=2,000人、アメリカ・ブラジル・イギリス・ドイツ・イタリア・フランス・スペイン・インドネシア・日本・韓国=1,000人、その他の各国=500人
COP世代とは?
今回の調査は、特に若い世代に焦点を当てています。本調査では、1995年の第1回COP開催以降に生まれた若い世代を「COP世代」と呼んでいます。年齢は29歳以下です。もちろん30歳以上の方も調査対象です。
COP世代「災害を回避できると思う」が約半数
質問と回答結果はこちらのとおりです。
Q.あなたが生きているうちに気候変動による災害を回避できると思いますか?
A.「災害を回避できると思う」と答えた割合
・COP世代 49%
・非COP世代 46%
ちなみに、45~54歳の人は42%、55歳以上では32%という結果でした。
この結果をどう捉えるかは、人によって見解がわかれそうです。
ただ気候変動による災害は、これから起きることではなく、今もすでに起きていることです。これ以上悪化しないよう、悪化するスピードを抑えられるようしていかなければなりません。
Q.世界が直面している喫緊の課題は何だと思いますか?
A.・COP世代 1位 物価高騰(51%)2位 気候変動(47%)3位 貧困(35%)
・非COP世代 1位 気候変動(58%)2位 物価高騰(54%)3位 貧困(37%)
この質問には、おそらく複数の選択肢があったと推測され、3つまで回答できる内容だったようです。
こちらは世代によって結果が変わりましたね。いずれも重要な課題ですが、COP世代は、今現在、体感としてより強く感じているのが物価高騰なのでしょうか。
この回答は、地域や個人の置かれている状況によっても差がありそうです。
Q.気候変動に対して、次の行動のうち、既に実行しているものはどれですか?
A.1位 再利用できる商品やモノを選ぶ COP世代 60% (非COP世代 71%)
2位 徒歩や自転車利用の頻度を増やす COP世代 55% (非COP世代 60%)
3位 リサイクルの習慣を改善する COP世代 54% (非COP世代 65%)
この質問も、おそらく複数の選択肢があったと推測され、3つまで回答できる内容で、上位項目だけが書かれています。
1位は、使い捨てではないものを使用するという意味もあると思いますが、環境にやさしいモノを使いたいという意識が強いのでしょう。
「環境技術への投資」が最重要な取組みと認識
本調査では、このような質問もありました。
Q.気候変動に対し、企業ができる最も重要な取り組みは何だと思いますか?
A.1位 環境技術への投資 48%
2位 製品のリサイクルと再利用の改善 45%
3位 資源使用量の削減 28%
4位 従業員の環境活動への参加奨励 21%
4位 炭素・プラスチックのオフセット 21%
気候変動の解決策としては、テクノロジーが重要な取組みであるという結果だったそうです。
私が学生のころ、プラスチックのリサイクルの研究をしていました。当時の担当教授からは、ゴミは燃やすのが一番だと言われたことがありました(苦笑)。それはなぜかというと、プラスチックのリサイクルするには、収集運搬、洗浄、破砕など多数の工程が必要であり、結局、燃やすよりも多くのエネルギーを消費する、つまりCO2の排出が多くなるからです。
ただし、今は状況が違います。再生可能エネルギーも普及し始め、CO2を排出しないエネルギーを使用することができます。またそれとは別に、長年の問題である埋め立て地の問題も残っています。
話は逸れましたが、実は昔からリサイクルの基礎技術は多くあります。それらの要素技術を活かし、環境技術への投資が盛んになって、社会実装される技術が増えると期待しています。
COP28について
今回の意識調査は、11月30日からアラブ首長国連邦・ドバイで開催される「第28回国連気候変動枠組条約締約国会議」(以下COP28)を前に、気候変動に対する世界的な関心度をより深く理解するために行われたものでした。
今回のCOP28の話をすると、「グローバル・ストックテイク」(GST)が注目されています。これは世界全体の進捗を評価するというものです。
2015年のCOP21で採択された「パリ協定」で、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度よりも十分低く保ち、1.5度に抑える努力を追求する」という世界共通の目標が掲げられています。「2度目標」「1.5度目標」とよばれ、多くの国がカーボンニュートラルを表明し、取り組みを進めているところです。
COP28では、パリ協定に基づき、各国では温室効果ガスの削減目標を自主的に設定していますが、これらの進捗状況を評価することになります。5年ごとに実施することで、目標達成に向けた改善へとつなげます。
今回の意識調査であったように、まずは国民一人一人が関心を高めていくことが重要になりそうです。COP28でどのような動きがあるのか注目です。