工場排水の管理に欠かせない水質検査ですが、検査機器による検査は、時間を要し、コストもかかります。日常的に水質検査を行い、排水管理を徹底するにはどうすればいいのでしょうか。
そこで、簡単ですぐに検査結果がわかるのが「パックテスト」です。パックテストは、工場排水の管理など多くの場所で使われている水質の簡易測定器です。
本記事では、工場排水の管理や責任者の方で、「まだパックテストを使ったことがない」「そもそも知らない」という方に対して、パックテストの種類や使用方法、注意点などを解説しています。
ぜひ、工場排水の維持管理に役立てていただき、法令順守と水質事故の未然防止に努めてください。
水質事故のリスク低減にパックテストは必ず役立ちます。今ここで、使い方をしっかり覚えておいてください。
パックテストとは
パックテストとは、具体的には、プラスチック製チューブに試薬が入った製品のことです。このチューブの中に排水などのサンプルを注入すると、化学反応によって変色するので、「比色」により物質の濃度を測定します。
パックテストは、工場排水の管理だけでなく、工程管理、飲料水の検査、環境調査などでも幅広く使用されています。私自身も数えきれないほど使用してきました。
メリット
工場排水を管理する方にとって、パックテストを使用するメリットはこんなことでしょうか。
・やり方がシンプルで簡単。専門知識や検査の経験がなくてもOK
・結果が早い。ほとんどが5分以内で判明する
・正しいやり方で行なえば検査精度も期待できるので、目安には十分なる
・サンプル量が少なくて可
・機器の使用はないため、屋外でもどこでも使用可
デメリット
あくまで個人的な見解ですが、デメリットをあげるとしたら次のとおりです。
・水質汚濁防止法の公定法ではない
・検査機器ほどの精度はない
・測定できない項目もある
・正しいやり方を行わないと、検査精度が期待できない
・項目によっては、やり方に多少のコツが必要
日常的な水質検査として活用するのであれば、問題ありません。異常の早期発見など、排水の管理に役立つはずです。
パックテストの種類
共立理化学研究所というメーカーが、パックテストを開発、製造、販売しています。現在70項目以上あり、無機系、金属系の物質を検査できるものが多いです。私もこんなにあるとは知りませんでした。
測定項目 | 測定目盛 |
銀 | 0、0.5、1、2、5以上 mg/L |
アルミニウム | 0、0.05、0.1、0.2、0.5、1 mg/L |
金 | 0、2、5、10、20 mg/L |
ほう素(高濃度) | 0、5、10、20、50、100 mg/L |
ほう素 | 0、0.5、1、2、5、10 mg/L |
BOD | 0、20、40、60、100、200、300、500 以上mg/L |
BOD(低濃度) | 0、5、10、15、20、50、100 mg/L |
カルシウム | 0、2、5、10、20、50以上 mg/L |
カルシウム硬度 | 0、5、12.5、25、50、125以上 mg/L |
塩化物(300) | 200以下、250付近、300以上 mg/L |
塩化物(200) | 100以下、150付近、200以上 mg/L |
塩化物(低濃度) | 0、2、5、10、20、50以上 mg/L |
残留塩素(高濃度) | 5、10、20、30、50、100、150、200、300、600、1000以上 mg/L |
残留塩素(遊離) | 0.1、0.2、0.4、1、2、5 mg/L |
総残留塩素 | 0.1、0.2、0.4、1、2、5 mg/L |
二酸化塩素 | 0.2、0.4、0.6、1、2、5、10 mg/L |
亜塩素酸ナトリウム | 5、10、20、50、100、150、200、300、500、1000以上 mg/L |
遊離シアン | 0.02以下、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2 mg/L |
COD(10000) | 0、10、100、500、1,000、2,000、10,000 以上 mg/L |
0、10、100、300、500、800、1,000 以上 mg/L | |
COD(250) | 0、30、60、120、200、250以上 mg/L |
COD | 0、5、10、13、20、50、100 mg/L |
COD(低濃度) | 0、2、4、6、8以上 mg/L |
6価クロム | 0.05、0.1、0.2、0.5、1、2 mg/L |
全クロム | 0.5、1、2、5、10、20 mg/L |
陽イオン界面活性剤 | 0、5、10、20、50以上 mg/L |
銅 | 0.5、1、2、3、5、10以上 mg/L |
銅(排水) | 0.5、1、3、5、10、20 mg/L |
ふっ素(遊離) | 0、0.4、0.8、1.5、3、8以上 mg/L |
動植物油脂 | 5, 10, 20, 30, 50, 100, 200 |
鉄 | 0.2、0.5、1、2、5、10 mg/L |
鉄(低濃度) | 0.05、0.1、0.3、0.5、1、2 mg/L |
2価鉄 | 0.2、0.5、1、2、5、10 mg/L |
3価鉄 | 2、5、10、20、50、100 mg/L |
ホルムアルデヒド | 0、0.1、0.2、0.3、0.5、1、2 mg/L |
グルコース | 0、0.1、0.2、0.5、1、2 mg/100mL |
0、1、2、5、10、20 mg/L | |
過酸化水素(高濃度) | 3、7、13、20、35、70、100、130、200、400、700 mg/L |
過酸化水素 | 0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、5 mg/L |
ヒドラジン | 0.05、0.1、0.2、0.5、1、2 mg/L |
Mアルカリ度 <酸消費量(pH4.8)> | 0、20、30、40、50、60、80、100以上 CaCO3 mg/L |
Pアルカリ度 <酸消費量(pH8.3)> | 0、100、200、300、400、500、600 CaCO3 mg/L |
金属総量(5種) | 0、0.2、0.5、1、2、5以上 mg/L |
マグネシウム | 0、1、2、5、10、20 mg/L |
マグネシウム硬度 | 0、4.1、8.2、20.5、41、82 mg/L |
マンガン | 0.5、1、2、5、10、20 mg/L |
モリブデン | 5、10、20、50、100、200、500 mg/L |
ニッケル | 0.5、1、2、5、10 mg/L |
ニッケル(DPM) | 0.3、0.5、1、2、5、10 mg/L |
アンモニウム(排水) | 0、0.5、1、2、5、10、20以上 mg/L |
アンモニウム態窒素(排水) | 0、0.5、1、2、5、10、20以上 mg/L |
アンモニウム | 0.2、0.5、1、2、5、10 mg/L |
アンモニウム態窒素 | 0.2、0.5、1、2、5、10 mg/L |
亜硝酸(高濃度) | 16、33、66、160、330、660以上 mg/L |
亜硝酸態窒素(高濃度) | 5、10、20、50、100、200以上 mg/L |
亜硝酸 | 0.02、0.05、0.1、0.2、0.5、1 mg/L |
亜硝酸態窒素 | 0.005、0.01、0.02.、0.05、0.1、0.2、0.5 mg/L |
硝酸(高濃度) | 90、225、450、900、2250、4500 mg/L |
硝酸態窒素(高濃度) | 20、50、100、200、500、1000 mg/L |
硝酸 | 1、2、5、10、20、45 mg/L |
硝酸態窒素 | 0.2、0.5、1、2、5、10 mg/L |
全窒素(無機) | 0、5、10、25、50、100 mg/L |
オゾン | 0.1、0.2、0.5、1、2、5 mg/L |
pH(ピーエイチ) | pH 5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5 |
酸性雨用(pH-BCG) | pH 3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、5.0、5.2、5.4、5.6、5.8、6.0、6.2 |
pH-BTB | pH 5.8、6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8、8.0以上 |
過マンガン酸カリウム消費量 | 0、3、6、10、12、15 mg/L |
フェノール | 0、0.2、0.5、1、2、5、10 mg/L |
りん酸(高濃度) | 2、5、10、20、50、100 mg/L |
りん酸態りん(高濃度) | 0.66、1.65、3.3、6.6、16.5、33 mg/L |
りん酸 | 0.2、0.5、1、2、5、10 mg/L |
りん酸態りん | 0.1、0.2、0.5、1、2、5 mg/L |
りん酸(低濃度) | 0.05、0.1、0.2、0.5、1、2 mg/L |
りん酸態りん(低濃度) | 0.02、0.05、0.1、0.2、0.5、1 mg/L |
硫化物 | 0.1、0.2、0.5、1、2、5 mg/L |
シリカ | 5、10、20、50、100、200 mg/L |
シリカ(低濃度) | 0.5、1、2、5、10、20 mg/L |
亜硫酸(高濃度) | 50、100、200、500、1000、2000 mg/L |
硫酸(高濃度) | 50、100、200、500、1000、2000以上 mg/L |
全硬度 | 0、10、20、50、100、200 mg/L |
ビタミンC | 0.1、0.2、0.5、1、2、4以上 mg/100mL |
アスコルビン酸 | 1、2、5、10、20、40以上 mg/L |
亜鉛 | 0、0.2、0.5、1、2、5以上 mg/L |
亜鉛(低濃度) | 0、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2以上 mg/L |
※本記事の最後に、水質汚濁防止法の排水基準の水質検査に役立つものをご紹介します。
パックテストの使用方法
パックテストの一般的な使用方法は、以下の手順となります。なお、種類によって使用方法が異なりますので、実際には添付の説明書を見ながら行ってください。
(1)パックテストの準備
パックテストは、以下のものがセットになっています。
・検査用のチューブ(ポリエチレン製。先端に短い糸が差し込まれている)
・標準色(各色ごとに濃度が記載された判定用のもの)
・説明書
項目によっては、別に試薬や容器がセットになっています。
また、検水(サンプル)を採取するためのビーカーや、必要に応じて手袋などの保護具を準備してください。
(2)水の採取
ビーカーなどの容器に、測定したい検水(サンプル)を採取します。
(3)チューブの中の空気を追い出す
チューブの先端にある短い糸を引き抜きます。チューブを指でつまみ、糸を引き抜いた箇所の穴から、空気を追い出します。
(4)チューブの中に検水を入れる
チューブを指でつまんだまま、穴を検水の中に入れます。つまんだ指をゆっくり放し、チューブの半分くらいまで検水を吸い込みます(スポイトと同じ原理です)。チューブは数回振り混ぜてください。
(5)色を比べる
説明書に記載の反応時間が経過したら、標準色の上にのせて色を比べ、濃度を測定します。
※詳細は、メーカーのホームページをご覧ください。
パックテストの注意点
さて、パックテストを使用するにあたり、私の経験も踏まえて、いくつか注意点があります。
(1)検査機器による水質検査と併用する
パックテストと検査機器による検査結果を比較し、相関性があるか確認しておいた方がより安心です。排水の状態によっては、共存物質の影響などにより、パックテストではうまく測定できない可能性もあるためです。
(2)説明書どおり正しく行う
当たり前のことではありますが、添付の説明書に従って検査をしてください。使用条件が示されており、記載のとおり行わないと正しい結果が出ないおそれもあります。
(3)パックテストの使用期限
各パックテストには使用期限があります。期限を過ぎたものを使用した場合、正確な検査ができないことがあるので、必ずわかるようにしてください。
「色が出ないから大丈夫!」と思ったら、期限が過ぎて反応しなかっただけ・・・では目も当てられません。
少し面倒ですが、新品購入時に期限をどこかに明示し、買い忘れを防いでください(普段使っていないと意外に期限が過ぎていたりします)。
(4)保護具の着用
パックテストによっては、強い酸性やアルカリ性の試薬が含まれています。必要に応じて、保護手袋や眼鏡などの対策を怠らないようにしてください。
(5)ゴミは持ち帰りましょう
屋外で使用する場合、風で飛ばされないように気を付けてください。またチューブから引き抜いた短い糸は、見失わないようきちんと処分してください。
改めて考えるパックテストの重要性
さて、パックテストの重要性とはなんでしょうか。
工場排水の管理で一番怖いのは、誤って汚れた水を外に流出させることが「一度たりとも」許されないことです。人がすることであるし、設備のトラブルも発生する中で、一度もミスが許されない。これは想像以上に難しいことではないでしょうか。
絶対に水質事故を起こさないために、いかに日常的な水質検査が重要性なのか。改めて考えてみました。
(1)生活環境を守るため
有害物質や汚れた水を流出させれば、河川や海へ多大な悪影響を及ぼすことは言うまでもありません。
私が公務員時代、河川などの異常水質は日常的に発生しており、中には工場排水由来のものもありました。とある企業が誤って強アルカリの排水を流出させた結果、大量の魚がへい死。その企業は、行政から指導され、水路に流出した排水をすべてバキュームカーで吸い取って清掃を行いました。
仮に故意に流出させていなくても、異常のあった河川から道路側溝の辿っていけば、原因者を突き止めることも不可能ではないのです。
最近の水質事故といえば、千葉県君津市の製鉄所からのシアン流出が記憶に新しいですね
(2)コンプライアンスと経済的な損失を防ぐため
水質汚濁防止法の規制がかかる場合、年に1回以上の測定を義務付けていますが、当然、測定の時だけ基準を満たしていればいいわけではありません。
排水基準を超過すれば、一発で法令違反です。さらに、健康被害が出れば、原因者に賠償責任が及ぶと法で明記されています。
行政機関が「抜き打ち」で立入検査に来ることもあります。実際に、私がいた自治体では複数の事業場へ定期的に立入し、水質検査をしていました。
もし基準超過が判明すれば、当然、排水は流せません。必然的に工場の生産活動も止めざるをえないため、経済的にも大きな損失となるはずです。
(3)水質異常の早期発見のため
万が一、基準を超過するような汚水を流出させた場合、1秒でも早く、排水を止められるかが勝負です。
その際、手元にパックテストがなかったらどうなるでしょう。検査機器の結果を待った挙句、判明した水質の値が基準を超過していたら・・・すでに手遅れなのは言うまでもありません。
水質事故は全国で日常的に発生しています。いかに早く異常に気付けるかがすべてです。
パックテストの準備はもちろん、普段から実際に使用して、いざという時にあわてないようにすることが大切です。
まとめ
以上、パックテストについて解説してきました。
知っている方にとっては当たり前の話ばかりで恐縮ですが、いざという時のため、担当者以外の方も使えるようにしておくといいのではないでしょうか。
説明書はあるものの、一度使ったことがあるのとないのでは、やはり差がでるものです。
また、パックテストをお持ちの方は、有効期限が過ぎていないか、これを機に確認してみてください。
本記事が、水質管理に興味を持っている方や、パックテストを使ったことがない方にとって、少しでも役立つ情報となれば幸いです。
(参考)水質汚濁防止法に関連するパックテスト
水質汚濁防止法の排水基準項目の水質検査に役立つものをご紹介します。
(繰り返しとなりますが)排水の状態によっては、共存物質の影響などにより、検査精度に影響を受けるため、一度、検査機器による水質検査検査との相関性を確認することをおすすめします(詳細は、メーカーサイトをご覧ください)。
購入については、Amazonなどの通販サイトでは、定価より安く販売されていることもあります。消耗品なので、少しでも安く購入したい方は、ご検討してみてはいかがでしょうか。
定番
この3つに関しては、排水を出すすべての事業場に常備しておいてもいいくらい、基本的なものです。仮に水質汚濁防止法の規制がかからなくても、不要な廃液などを垂れ流していれば、不法投棄にもなりかねませんので要注意です。
🔳pH
酸性かアルカリ性かを測る定番中の定番ですね。測定範囲はpH5.0~9.5で0.5刻みでわかります。20秒で結果が判明します。
水素イオン濃度ともいい、水質汚濁防止法では「1日当たりの平均的な排出水の量が50立方メートル以上」の場合に規制対象になりますが、都道府県条例の上乗せ基準により、排出量に関わらず規制対象になる場合もあります。
パックテストは、pH試験紙よりも公定法に近い検査精度があるという報告もあります
🔳BOD(生物化学的酸素要求量)
簡単にいうと、汚れ具合をみるものです。海域及び湖沼以外の公共用水域に排出される排出水に適用される項目です。公定法(JIS 0102 21.)では5日間かかりますが、パックテストだと2分間で結果が判明します。
🔳COD(化学的酸素要求量)
BODと同様、汚れ具合を見るもので、海域及び湖沼に排出される排出水適用される項目です。油や固形物には反応しませんが、5分程度で結果がわかる排水管理のマストアイテムですね。
有害物質(健康項目)関連
🔳遊離シアン
「シアン化合物」に関して、遊離シアン(主にシアン化物イオンと塩化シアン)の簡易検査が可能です(全シアンは測定不可)。細かい測定値が知りたい場合は、デジタルパックテスト(型式 DPM2-CN-2)があります。
言わずと知れた超危険な有害物質。被害時の深刻度が大きいので、普段シアンを取り扱っていない場合でも、準備しておいてもいいかもしれません。
🔳六価クロム
「六価クロム化合物」に関して、六価クロムの簡易検査が可能です。なお、検水のpHを7以下にしてから、検査する必要があります。細かい測定値が知りたい場合は、デジタルパックテスト(型式 DPM2-Cr6+)があります。
🔳ほう素
「ほう素及びその化合物」に関して、ほう酸状態のほう素の簡易検査が可能です(ほうふっ化物は測定不可)。細かい測定値が知りたい場合は、デジタルパックテスト(型式 DPM2-B)があります。
🔳ふっ素(遊離)
「ふっ素及びその化合物」に関して、ふっ素イオン(F-)の簡易検査が可能です(ほうふっ化物は測定不可)。原則、共存物質の少ない検水が対象となります。細かい測定値が知りたい場合は、デジタルパックテスト(型式 DPM2-F)があります。
🔳アンモニウム(排水)
「アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物」に関して、アンモニウムイオン(NH4+)とアンモニウム態窒素(NH4+-N)の両方の簡易検査が可能です。
なお、鉄イオンや硝酸イオンなどの共存物質が少ない場合は、別のパックテスト「アンモニウム」もご利用可能です。こちらについては、細かい測定値が知りたい場合は、デジタルパックテスト(型式 DPM2-NH4)があります。
🔳亜硝酸(亜硝酸態窒素)
上記と関連し、亜硝酸イオン(NO2-)と亜硝酸態窒素(NO2-N)の両方の簡易検査が可能です。細かい測定値が知りたい場合は、デジタルパックテスト(型式 DPM2-NO2)があります。
🔳硝酸(硝酸態窒素)
上記と関連し、硝酸イオン(NO3-)と硝酸態窒素(NO3-N)の両方の簡易検査が可能です。なお、亜硝酸が共存している検水を測定する場合は、測定結果に影響するため、前述の亜硝酸をまず確認する必要があります。
細かい測定値が知りたい場合は、デジタルパックテスト(型式 DPM2-NO3)があります。
🔳全窒素(無機)
上記と関連し、アンモニウム態窒素(NH4+-N)、亜硝酸態窒素(NO2-N)硝酸態窒素(NO3-N)の合計値の簡易検査が可能です(有機体窒素は測定不可)。なお、検水のpHが4以下の場合は、中和してから検査する必要があります。
その他の項目(生活環境項目)関連
🔳フェノール
フェノール類の簡易検査が可能です。
🔳銅
「銅含有量」に関して、1価または2価の銅イオン(Cu+、Cu2+)の簡易検査が可能です。「銅(排水)」のパックテストの方は、EDTAと結合したものでも検査可能で化学銅めっき排水等の測定に適しています。
🔳亜鉛
亜鉛イオン(Zn2+)の簡易検査が可能です。濁り、沈殿、錯体等を含めた測定値が必要な場合は、あらかじめ溶解する必要があります。
🔳鉄
「溶解性鉄含有量」に関して、鉄イオン(Fe2+、Fe3+)の簡易検査が可能です。ちなみに、鉄系のパックテストは、他の種類もラインナップされています。
🔳マンガン
「溶解性マンガン含有量」に関して、2~7価のイオン状態のマンガンの簡易検査が可能です。
🔳全クロム
「クロム含有量」に関して、全クロム(三価と六価の合計)の簡易検査が可能です。濁り、沈殿等を含めた測定値が必要な場合は、あらかじめ溶解する必要があります。
🔳動植物油脂
ノルマルヘキサン抽出物質含有量(動植物油脂類含有量)の簡易検査として、2023年4月3日から発売されるようです。パックテストで検査できるとなると便利ですね。
最後までご覧いただきありがとうございました。