工場排水の管理に資格が必要?公害防止管理者とは?【はじめての水質汚濁防止法】

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環境担当者
環境担当者

公害防止管理者って何?うちの工場にも必要なの?必要な場合何すればいいの?

TAROさん
TAROさん

今回はこんな疑問にお答えします

例えば、こんな方におすすめです
・自分の工場に公害防止管理者が必要か理解したい方
・法律や自治体のサイトを見てもよくわからない方
・企業で、新しく水質汚濁防止法の届出担当者になった方
・新しく特定事業場の経営者・工場長になる方

・公害防止管理者を受検する予定の方  など

TAROさん
TAROさん

ちなみに筆者の私ですが、こんなキャリアがあります。

・水質汚濁防止法の実務経験者(元公務員技術職)
・公害防止管理者(水質第1種)の有資格者

さらに本記事は、信頼性を保つため、環境省や自治体の一次情報を基本としています。

この記事を読み終わった後は、自分の工場に公害防止管理者が必要か、必要な場合どうすればいいかわかるようになっていると思います。
※なお、実際の法的な解釈は自治体の判断により分かれることがありますので、お住いの自治体にご相談ください。

※ そもそも「水質汚濁防止法ってなんだっけ??」という方は、こちらの記事がおすすめです。
 「水質汚濁防止法をわかりやすく解説!はじめて届出担当者になったら最初に確認すべき5点」

公害防止管理者とは?

環境保全のエキスパート!

公害防止管理者は、工場からの公害を防止するために専門的な知識を有するエキスパートのことです。

例えば、工場排水をきちんと処理するのって、専門的な知識が必要ですよね。
そんな知識を持った人を、工場に整備することで、公害を防止しましょうというのが法律の趣旨です。

ちなみにこの公害防止管理者の根拠法令は、「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」になります。水濁法ではありません。

第1条 目的
 この法律は、公害防止統括者等の制度を設けることにより、特定工場における公害防止組織の整備を図り、もつて公害の防止に資することを目的とする。

e-Gov法令検索 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律

※ 「特定工場」とは公害防止管理者が必要な工場のことです(詳細は後述します)。
※ 「公害防止統括者」とは公害防止管理者とは別に定義された者です(詳細は後述します)。

この法律の中で、公害防止管理者は以下のように定義されています。

第四条 公害防止管理者の選任【※水質に係る箇所のみ抜粋】
 特定事業者は、主務省令で定めるところにより、特定工場において次に掲げる業務を管理する者(以下「公害防止管理者」という。)を選任しなければならない。この場合において、第二条第一号又は第二号の特定工場にあつては、政令で定めるばい煙発生施設又は汚水等排出施設の区分ごとに、それぞれ公害防止管理者を選任しなければならない。

 第二条第二号の特定工場にあつては、前条第一項第二号に掲げる業務のうち、使用する原材料の検査、排出水又は特定地下浸透水の汚染状態の測定の実施その他の主務省令で定める技術的事項

e-Gov法令検索 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律

※ 「特定事業者」とは特定工場を設置している者のことです。
※ 「主務省令」とは特定工場における公害防止組織の整備に関する法律施行規則のことです。

なお、公害防止管理者には、水質だけではなく、大気、騒音振動、ダイオキシン類、特定粉じん(石綿)、一般粉じんがあります。

役割は?

具体的な公害防止管理者の役割は、主務省令に「技術的事項」として規定されています。
水質に関しては以下のとおりです。

主務省令 第6条
 法第四条第一項第二号の主務省令で定める技術的事項は、次のとおりとする。
 使用する原材料の検査
 汚水等排出施設の点検
 汚水等排出施設から排出される汚水又は廃液を処理するための施設及びこれに附属する施設の操作、点検及び補修
 排出水又は特定地下浸透水の汚染状態の測定の実施及びその結果の記録
 測定機器の点検及び補修
 事故時の措置(応急の措置に係るものに限る。)の実施
 排出水に係る緊急時における排出水の量の減少その他の必要な措置の実施

e-Gov法令検索 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律施行規則

国家試験に合格する必要あり

この公害防止管理者、実は誰でもなれるわけではないんです。

TAROさん
TAROさん

国家資格が必要です

国家資格を得るためには、「公害防止管理者試験」という国家試験に合格する必要があります。
過去に私も受験しましたが、試験内容が法律から技術的な内容まで幅広く、きちんと勉強しないと合格が難しいです。ただ、選択式で暗記系の内容が多く、過去問などしっかり対策すれば合格は可能なはずです。

※ なお、技術士などの有資格者や化学系などの学歴と実務経験者は、認定講習の受講により、
  国家試験に合格しなくても公害防止管理者の資格が得られます。

<参照>一般社団法人産業環境管理協会 ホームページ

水質関係は4種類ある

水質に関する特定工場の場合、公害防止管理者の資格を得るためには、水質関係の試験に合格しなければなりません(受講も可)。

水質関係の場合、第1種、2種、3種、4種があります。それぞれの違いの詳細は後述しますが、特定工場の内容によって、必要な種類が異なります。


例えば、第2種が必要な特定工場の場合、第3種の資格を持っていても公害防止管理者には選任できません。ちなみに第1種は他の種類すべてを網羅したものになり、当然、試験範囲も第1種が一番広くなります。

他にも公害防止〇〇者がある

特定工場には、公害防止管理者のほかにも必要な役職があります。

公害防止統括者

工場の公害防止に関する業務を統括・管理する役割を担う(工場長等)。資格は不要
なお、常時使用する従業員数が20人以下の場合は不要。

公害防止主任管理者

(大気汚染防止法における)ばい煙発生量が1時間当たり4万m3以上で、かつ(水濁法における)排出水量が1日当たり平均1万m3以上である一定規模以上の特定工場の場合に必要。「公害防止主任管理者」の国家資格が必要

代理者

公害防止統括者、公害防止主任管理者、公害防止管理者が旅行、疾病その他の事故によつてその職務を行なうことができない場合にその職務を行なう者として、それぞれの代理者を決めておかなければなりません。代理なので同じ資格が必要です。

どんな場合に必要か?

特定工場に該当すれば必要

公害防止管理者は、どんな場合に必要なのでしょうか?

それは工場が「特定工場」に該当する場合です。該当すれば、その内容に応じた公害防止管理者の整備が義務付けられます。

では「特定工場」とはどんな工場でしょう?まずは法律の条文を見てみましょう。

第二条 定義 【※水質に係る箇所のみ抜粋】
この法律において「特定工場」とは、製造業その他の政令で定める業種に属する事業の用に供する工場のうち、次に掲げるものをいう。

二 汚水又は廃液(水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第二条第二項各号の要件のいずれかを備える汚水又は廃液をいう。第三条第一項第二号イ及びロにおいて同じ。)を排出する施設で政令で定めるもの(以下「汚水等排出施設」という。)が設置されている工場のうち、政令で定めるもの

e-Gov法令検索 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律

つまり、特定工場とは、以下の要件を満たす工場のことです。

・製造業などの政令で定める業種に該当
・「汚水等排出施設」が設置された工場のうち、政令で定めたもの

したがって、水濁法の対象(特定事業場)であっても、必ず「特定工場」に該当するわけではないんですね。

特定工場に該当するかの判断方法

水濁法の特定事業場のうち、公害防止管理者の整備が必要な特定工場に該当するかは、以下のステップのとおり判断すればOKです。

ステップ1 業種は何か?
ステップ2 特定施設が「汚水等排出施設」に該当するか?
ステップ3 政令で定める工場に該当するか?

ステップ1 業種は何か?

あなたの工場が属する業種が、以下に当てはまりますか?当てはまらなければ、特定工場にはならないので、公害防止管理者等の整備は不要です。

製造業(物品の加工業を含む。)
・電気供給業
ガス供給業
熱供給業

ステップ2 特定施設が「汚水等排出施設」に該当するか?

業種が当てはまったら、次は、自社の水濁法の特定施設が「汚水等排出施設」に該当するかどうかです。

前述のとおり、汚水等排出施設は、法第2条第2号、政令第3条に定義されていますが、以下の特定施設に該当すれば「汚水等排出施設」になります。

第二号から第五十九号
第六十一号から第六十三号
第六十三号の三
第六十四号
第六十五号から第六十六号の二
第七十一号の五
第七十一号の六

政令 第三条 汚水等排出施設等 第1項
法第二条第二号の政令で定める施設は、水質汚濁防止法施行令(昭和四十六年政令第百八十八号)別表第一第二号から第五十九号まで、第六十一号から第六十三号まで、第六十三号の三、第六十四号、第六十五号から第六十六号の二まで、第七十一号の五及び第七十一号の六に掲げる施設(同表第六十二号に掲げる施設で鉱山保安法第二条第二項の鉱山に設置されるものを除く。)とする。

e-Gov法令検索 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律施行規則

自社の特定施設の番号を届出書を見て確認してみてください。

別表第一(第一条関係)
一 鉱業又は水洗炭業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 選鉱施設
 ロ 選炭施設
 ハ 坑水中和沈でん施設
ニ 掘削用の泥水分離施設
 一の二 畜産農業又はサービス業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 豚房施設(豚房の総面積が五〇平方メートル未満の事業場に係るものを除く。)
 ロ 牛房施設(牛房の総面積が二〇〇平方メートル未満の事業場に係るものを除く。)
 ハ 馬房施設(馬房の総面積が五〇〇平方メートル未満の事業場に係るものを除く。)
 二 畜産食料品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 原料処理施設
 ロ 洗浄施設(洗びん施設を含む。)
 ハ 湯煮施設
三 水産食料品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 水産動物原料処理施設
 ロ 洗浄施設
 ハ 脱水施設
 ニ ろ過施設
 ホ 湯煮施設
四 野菜又は果実を原料とする保存食料品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 原料処理施設
 ロ 洗浄施設
 ハ 圧搾施設
 ニ 湯煮施設
五 みそ、しよう油、食用アミノ酸、グルタミン酸ソーダ、ソース又は食酢の製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 原料処理施設
 ロ 洗浄施設
 ハ 湯煮施設
 ニ 濃縮施設
 ホ 精製施設
 ヘ ろ過施設
六 小麦粉製造業の用に供する洗浄施設
七 砂糖製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 原料処理施設
 ロ 洗浄施設(流送施設を含む。)
 ハ ろ過施設
 ニ 分離施設
 ホ 精製施設
八 パン若しくは菓子の製造業又は製あん業の用に供する粗製あんの沈でんそう
九 米菓製造業又はこうじ製造業の用に供する洗米機
十 飲料製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 原料処理施設
 ロ 洗浄施設(洗びん施設を含む。)
 ハ 搾汁施設
 ニ ろ過施設
 ホ 湯煮施設
 ヘ 蒸留施設
十一 動物系飼料又は有機質肥料の製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 原料処理施設
 ロ 洗浄施設
 ハ 圧搾施設
 ニ 真空濃縮施設
 ホ 水洗式脱臭施設
十二 動植物油脂製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 原料処理施設
 ロ 洗浄施設
 ハ 圧搾施設
 ニ 分離施設
十三 イースト製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 原料処理施設
 ロ 洗浄施設
 ハ 分離施設
十四 でん粉又は化工でん粉の製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 原料浸せき施設
 ロ 洗浄施設(流送施設を含む。)
 ハ 分離施設
 ニ 渋だめ及びこれに類する施設
十五 ぶどう糖又は水あめの製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 原料処理施設
 ロ ろ過施設
 ハ 精製施設
十六 麺類製造業の用に供する湯煮施設
十七 豆腐又は煮豆の製造業の用に供する湯煮施設
十八 インスタントコーヒー製造業の用に供する抽出施設
十八の二 冷凍調理食品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 原料処理施設
 ロ 湯煮施設
 ハ 洗浄施設
十八の三 たばこ製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 水洗式脱臭施設
 ロ 洗浄施設
十九 紡績業又は繊維製品の製造業若しくは加工業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ まゆ湯煮施設
 ロ 副蚕処理施設
 ハ 原料浸せき施設
 ニ 精練機及び精練そう
 ホ シルケツト機
 ヘ 漂白機及び漂白そう
 ト 染色施設
 チ 薬液浸透施設
 リ のり抜き施設
二十 洗毛業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 洗毛施設
 ロ 洗化炭施設
二十一 化学繊維製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 湿式紡糸施設
 ロ リンター又は未精練繊維の薬液処理施設
 ハ 原料回収施設
二十一の二 一般製材業又は木材チツプ製造業の用に供する湿式バーカー
二十一の三 合板製造業の用に供する接着機洗浄施設
二十一の四 パーテイクルボード製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 湿式バーカー
 ロ 接着機洗浄施設
二十二 木材薬品処理業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 湿式バーカー
 ロ 薬液浸透施設
二十三 パルプ、紙又は紙加工品の製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 原料浸せき施設
 ロ 湿式バーカー
 ハ 砕木機
 ニ 蒸解施設
 ホ 蒸解廃液濃縮施設
 ヘ チツプ洗浄施設及びパルプ洗浄施設
 ト 漂白施設
 チ 抄紙施設(抄造施設を含む。)
 リ セロハン製膜施設
 ヌ 湿式繊維板成型施設
 ル 廃ガス洗浄施設
二十三の二 新聞業、出版業、印刷業又は製版業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 自動式フイルム現像洗浄施設
 ロ 自動式感光膜付印刷版現像洗浄施設
二十四 化学肥料製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ ろ過施設
 ロ 分離施設
 ハ 水洗式破砕施設
 ニ 廃ガス洗浄施設
 ホ 湿式集じん施設
二十五 削除
二十六 無機顔料製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 洗浄施設
 ロ ろ過施設
 ハ カドミウム系無機顔料製造施設のうち、遠心分離機
 ニ 群青製造施設のうち、水洗式分別施設
 ホ 廃ガス洗浄施設
二十七 前号に掲げる事業以外の無機化学工業製品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ ろ過施設
 ロ 遠心分離機
 ハ 硫酸製造施設のうち、亜硫酸ガス冷却洗浄施設
 ニ 活性炭又は二硫化炭素の製造施設のうち、洗浄施設
 ホ 無水けい酸製造施設のうち、塩酸回収施設
 ヘ 青酸製造施設のうち、反応施設
 ト よう素製造施設のうち、吸着施設及び沈でん施設
 チ 海水マグネシア製造施設のうち、沈でん施設
 リ バリウム化合物製造施設のうち、水洗式分別施設
 ヌ 廃ガス洗浄施設
 ル 湿式集じん施設
二十八 カーバイト法アセチレン誘導品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 湿式アセチレンガス発生施設
 ロ 酢酸エステル製造施設のうち、洗浄施設及び蒸留施設
 ハ ポリビニルアルコール製造施設のうち、メチルアルコール蒸留施設
 ニ アクリル酸エステル製造施設のうち、蒸留施設
 ホ 塩化ビニルモノマー洗浄施設
 ヘ クロロプレンモノマー洗浄施設
二十九 コールタール製品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ ベンゼン類硫酸洗浄施設
 ロ 静置分離器
 ハ タール酸ソーダ硫酸分解施設
三十 発酵工業(第五号、第十号及び第十三号に掲げる事業を除く。)の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 原料処理施設
 ロ 蒸留施設
 ハ 遠心分離機
 ニ ろ過施設
三十一 メタン誘導品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ メチルアルコール又は四塩化炭素の製造施設のうち、蒸留施設
 ロ ホルムアルデヒド製造施設のうち、精製施設
 ハ フロンガス製造施設のうち、洗浄施設及びろ過施設
三十二 有機顔料又は合成染料の製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ ろ過施設
 ロ 顔料又は染色レーキの製造施設のうち、水洗施設
 ハ 遠心分離機
 ニ 廃ガス洗浄施設
三十三 合成樹脂製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 縮合反応施設
 ロ 水洗施設
 ハ 遠心分離機
 ニ 静置分離器
 ホ 弗ふつ素樹脂製造施設のうち、ガス冷却洗浄施設及び蒸留施設
 ヘ ポリプロピレン製造施設のうち、溶剤蒸留施設
 ト 中圧法又は低圧法によるポリエチレン製造施設のうち、溶剤回収施設
 チ ポリブテンの酸又はアルカリによる処理施設
 リ 廃ガス洗浄施設
 ヌ 湿式集じん施設
三十四 合成ゴム製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ ろ過施設
 ロ 脱水施設
 ハ 水洗施設
 ニ ラテツクス濃縮施設
 ホ スチレン・ブタジエンゴム、ニトリル・ブタジエンゴム又はポリブタジエンゴムの製造施設のうち、静置分離器
三十五 有機ゴム薬品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 蒸留施設
 ロ 分離施設
 ハ 廃ガス洗浄施設
三十六 合成洗剤製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 廃酸分離施設
 ロ 廃ガス洗浄施設
 ハ 湿式集じん施設
三十七 前六号に掲げる事業以外の石油化学工業(石油又は石油副生ガス中に含まれる炭化水素の分解、分離その他の化学的処理により製造される炭化水素又は炭化水素誘導品の製造業をいい、第五十一号に掲げる事業を除く。)の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 洗浄施設
 ロ 分離施設
 ハ ろ過施設
 ニ アクリロニトリル製造施設のうち、急冷施設及び蒸留施設
 ホ アセトアルデヒド、アセトン、カプロラクタム、テレフタル酸又はトリレンジアミンの製造施設のうち、蒸留施設
 ヘ アルキルベンゼン製造施設のうち、酸又はアルカリによる処理施設
 ト イソプロピルアルコール製造施設のうち、蒸留施設及び硫酸濃縮施設
 チ エチレンオキサイド又はエチレングリコールの製造施設のうち、蒸留施設及び濃縮施設
 リ 二―エチルヘキシルアルコール又はイソブチルアルコールの製造施設のうち、縮合反応施設及び蒸留施設
 ヌ シクロヘキサノン製造施設のうち、酸又はアルカリによる処理施設
 ル トリレンジイソシアネート又は無水フタル酸の製造施設のうち、ガス冷却洗浄施設
 ヲ ノルマルパラフイン製造施設のうち、酸又はアルカリによる処理施設及びメチルアルコール蒸留施設
 ワ プロピレンオキサイド又はプロピレングリコールのけん化器
 カ メチルエチルケトン製造施設のうち、水蒸気凝縮施設
 ヨ メチルメタアクリレートモノマー製造施設のうち、反応施設及びメチルアルコール回収施設
 タ 廃ガス洗浄施設
三十八 石けん製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 原料精製施設
 ロ 塩析施設
三十八の二 界面活性剤製造業の用に供する反応施設(一・四―ジオキサンが発生するものに限り、洗浄装置を有しないものを除く。)
三十九 硬化油製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 脱酸施設
 ロ 脱臭施設
四十 脂肪酸製造業の用に供する蒸留施設
四十一 香料製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 洗浄施設
 ロ 抽出施設
四十二 ゼラチン又はにかわの製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 原料処理施設
 ロ 石灰づけ施設
 ハ 洗浄施設
四十三 写真感光材料製造業の用に供する感光剤洗浄施設
四十四 天然樹脂製品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 原料処理施設
 ロ 脱水施設
四十五 木材化学工業の用に供するフルフラール蒸留施設
四十六 第二十八号から前号までに掲げる事業以外の有機化学工業製品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 水洗施設
 ロ ろ過施設
 ハ ヒドラジン製造施設のうち、濃縮施設
 ニ 廃ガス洗浄施設
四十七 医薬品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 動物原料処理施設
 ロ ろ過施設
 ハ 分離施設
 ニ 混合施設(第二条各号に掲げる物質を含有する物を混合するものに限る。以下同じ。)
 ホ 廃ガス洗浄施設
四十八 火薬製造業の用に供する洗浄施設
四十九 農薬製造業の用に供する混合施設
五十 第二条各号に掲げる物質を含有する試薬の製造業の用に供する試薬製造施設
五十一 石油精製業(潤滑油再生業を含む。)の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 脱塩施設
 ロ 原油常圧蒸留施設
 ハ 脱硫施設
 ニ 揮発油、灯油又は軽油の洗浄施設
 ホ 潤滑油洗浄施設
五十一の二 自動車用タイヤ若しくは自動車用チユーブの製造業、ゴムホース製造業、工業用ゴム製品製造業(防振ゴム製造業を除く。)、更生タイヤ製造業又はゴム板製造業の用に供する直接加硫施設
五十一の三 医療用若しくは衛生用のゴム製品製造業、ゴム手袋製造業、糸ゴム製造業又はゴムバンド製造業の用に供するラテツクス成形型洗浄施設
五十二 皮革製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 洗浄施設
 ロ 石灰づけ施設
 ハ タンニンづけ施設
 ニ クロム浴施設
 ホ 染色施設
五十三 ガラス又はガラス製品の製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 研摩洗浄施設
 ロ 廃ガス洗浄施設
五十四 セメント製品製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 抄造施設
 ロ 成型機
 ハ 水養生施設(蒸気養生施設を含む。)
五十五 生コンクリート製造業の用に供するバツチヤープラント
五十六 有機質砂かべ材製造業の用に供する混合施設
五十七 人造黒鉛電極製造業の用に供する成型施設
五十八 窯業原料(うわ薬原料を含む。)の精製業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 水洗式破砕施設
 ロ 水洗式分別施設
 ハ 酸処理施設
 ニ 脱水施設
五十九 砕石業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 水洗式破砕施設
 ロ 水洗式分別施設

六十 砂利採取業の用に供する水洗式分別施設
六十一 鉄鋼業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ タール及びガス液分離施設
 ロ ガス冷却洗浄施設
 ハ 圧延施設
 ニ 焼入れ施設
 ホ 湿式集じん施設
六十二 非鉄金属製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 還元そう
 ロ 電解施設(溶融塩電解施設を除く。)
 ハ 焼入れ施設
 ニ 水銀精製施設
 ホ 廃ガス洗浄施設
 ヘ 湿式集じん施設
六十三 金属製品製造業又は機械器具製造業(武器製造業を含む。)の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 焼入れ施設
 ロ 電解式洗浄施設
 ハ カドミウム電極又は鉛電極の化成施設
 ニ 水銀精製施設
 ホ 廃ガス洗浄施設

六十三の二 空きびん卸売業の用に供する自動式洗びん施設
六十三の三 石炭を燃料とする火力発電施設のうち、廃ガス洗浄施設
六十四 ガス供給業又はコークス製造業の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ タール及びガス液分離施設
 ロ ガス冷却洗浄施設(脱硫化水素施設を含む。)

六十四の二 水道施設(水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第三条第八項に規定するものをいう。)、工業用水道施設(工業用水道事業法(昭和三十三年法律第八十四号)第二条第六項に規定するものをいう。)又は自家用工業用水道(同法第二十一条第一項に規定するものをいう。)の施設のうち、浄水施設であつて、次に掲げるもの(これらの浄水能力が一日当たり一万立方メートル未満の事業場に係るものを除く。)
 イ 沈でん施設
 ロ ろ過施設
六十五 酸又はアルカリによる表面処理施設
六十六 電気めつき施設
六十六の二 エチレンオキサイド又は一・四―ジオキサンの混合施設(前各号に該当するものを除く。)

六十六の三 旅館業(旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第二条第一項に規定するもの(住宅宿泊事業法(平成二十九年法律第六十五号)第二条第三項に規定する住宅宿泊事業に該当するもの及び旅館業法第二条第四項に規定する下宿営業を除く。)をいう。)の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ ちゆう房施設
 ロ 洗濯施設
 ハ 入浴施設
六十六の四 共同調理場(学校給食法(昭和二十九年法律第百六十号)第六条に規定する施設をいう。以下同じ。)に設置されるちゆう房施設(業務の用に供する部分の総床面積(以下単に「総床面積」という。)が五〇〇平方メートル未満の事業場に係るものを除く。)
六十六の五 弁当仕出屋又は弁当製造業の用に供するちゆう房施設(総床面積が三六〇平方メートル未満の事業場に係るものを除く。)
六十六の六 飲食店(次号及び第六十六号の八に掲げるものを除く。)に設置されるちゆう房施設(総床面積が四二〇平方メートル未満の事業場に係るものを除く。)
六十六の七 そば店、うどん店、すし店のほか、喫茶店その他の通常主食と認められる食事を提供しない飲食店(次号に掲げるものを除く。)に設置されるちゆう房施設(総床面積が六三〇平方メートル未満の事業場に係るものを除く。)
六十六の八 料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する飲食店で設備を設けて客の接待をし、又は客にダンスをさせるものに設置されるちゆう房施設(総床面積が一、五〇〇平方メートル未満の事業場に係るものを除く。)
六十七 洗濯業の用に供する洗浄施設
六十八 写真現像業の用に供する自動式フイルム現像洗浄施設
六十八の二 病院(医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第一条の五第一項に規定するものをいう。以下同じ。)で病床数が三〇〇以上であるものに設置される施設であつて、次に掲げるもの
 イ ちゆう房施設
 ロ 洗浄施設
 ハ 入浴施設
六十九 と畜業又は死亡獣畜取扱業の用に供する解体施設
六十九の二 卸売市場(卸売市場法(昭和四十六年法律第三十五号)第二条第二項に規定するものをいう。以下同じ。)(主として漁業者又は水産業協同組合から出荷される水産物の卸売のためその水産物の陸揚地において開設される卸売市場で、その水産物を主として他の卸売市場に出荷する者、水産加工業を営む者に卸売する者又は水産加工業を営む者に対し卸売するためのものを除く。)に設置される施設であつて、次に掲げるもの(水産物に係るものに限り、これらの総面積が一、〇〇〇平方メートル未満の事業場に係るものを除く。)
 イ 卸売場
 ロ 仲卸売場
七十 廃油処理施設(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十六号)第三条第十四号に規定するものをいう。)
七十の二 自動車特定整備事業(道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第七十七条に規定するものをいう。以下同じ。)の用に供する洗車施設(屋内作業場の総面積が八〇〇平方メートル未満の事業場に係るもの及び次号に掲げるものを除く。)
七十一 自動式車両洗浄施設
七十一の二 科学技術(人文科学のみに係るものを除く。)に関する研究、試験、検査又は専門教育を行う事業場で環境省令で定めるものに設置されるそれらの業務の用に供する施設であつて、次に掲げるもの
 イ 洗浄施設
 ロ 焼入れ施設
七十一の三 一般廃棄物処理施設(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第八条第一項に規定するものをいう。)である焼却施設
七十一の四 産業廃棄物処理施設(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第十五条第一項に規定するものをいう。)のうち、次に掲げるもの
 イ 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四十六年政令第三百号)第七条第一号、第三号から第六号まで、第八号又は第十一号に掲げる施設であつて、国若しくは地方公共団体又は産業廃棄物処理業者(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第二条第四項に規定する産業廃棄物の処分を業として行う者(同法第十四条第六項ただし書の規定により同項本文の許可を受けることを要しない者及び同法第十四条の四第六項ただし書の規定により同項本文の許可を受けることを要しない者を除く。)をいう。)が設置するもの
 ロ 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第七条第十二号から第十三号までに掲げる施設
七十一の五 トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン又はジクロロメタンによる洗浄施設(前各号に該当するものを除く。)
七十一の六 トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン又はジクロロメタンの蒸留施設(前各号に該当するものを除く。)
七十二 し尿処理施設(建築基準法施行令第三十二条第一項の表に規定する算定方法により算定した処理対象人員が五〇〇人以下のし尿浄化槽を除く。)
七十三 下水道終末処理施設
七十四 特定事業場から排出される水(公共用水域に排出されるものを除く。)の処理施設(前二号に掲げるものを除く。)


e-gov 水質汚濁防止法施行令

ステップ3 政令で定める工場に該当するか?

特定施設が汚水等排出施設に該当したら、次は、この施設がどんな工場に設置されているかどうかです。具体的には、以下の工場になります。

政令 第三条 汚水等排出施設等 第2項
一 別表第一に掲げる汚水等排出施設のいずれかが設置されている工場排出水を排出しているもの又は特定地下浸透水を浸透させているもの
二 前号に掲げる工場以外の工場で排出水量(一日当たりの平均的な排出水の量をいう。以下同じ。)が千立方メートル以上のもの

e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=346M50010d40003_20201228_502M60001f40002

(1)有害物質を排出するおそれがある施設のある工場

まずは、自社の特定施設が「別表第一」に規定したものか確認してください。

この「別表第一」は政令に規定されており、具体的な特定施設が示されています。内容を見ると、有害物質を使用するような特定施設(※)です。

※ 「別表第一」はこちらをご覧ください(下の方にあります)

この特定施設に該当し、さらに工場排水等を公共用水域に排出していたり、特定地下浸透水を浸透させていたりするような工場であれば特定工場に該当することが確定します。

※ 単に有害物質使用特定施設がある工場という意味ではありません。あくまで「別表第一」に該当する施設です。
※ 水質汚濁防止法施行令「別表第一」とは異なります(ちょっと紛らわしい・・・)。

(2)(1)以外の施設で工場の総排出水量が1000㎥以上の工場

上記の有害物質の排出するおそれのある施設に該当しない場合でも、特定工場に該当する場合があります。

それは「一日当たりの平均的な排出水の量が1000㎥以上ある工場」です。

つまり、少なくとも特定施設が汚水等排出施設に該当し、総排出水量が1000㎥以上あれば、特定工場に該当するわけです。

特定工場の内容によって必要な資格が違う

特定工場には、上記のステップ3のとおり、2パターンの工場があることがわかりました。
前述のとおり、水質関係の資格は第1種から4種までありますが、そのパターンと総排出量によって必要な資格が分かれます。

対象施設総排出量必要な資格
有害物質を排出するおそれがある施設のある工場10,000㎥/日以上水質関係第1種
10,000㎥/日未満水質関係第1種
水質関係第2種
上記以外の工場10,000㎥/日以上水質関係第1種
水質関係第3種
1000㎥以上
10,000㎥/日未満
水質関係第1種
水質関係第2種
水質関係第3種
水質関係第4種

※ 必要な資格は、欄内にある資格のいずれか1つが必要という意味です。

必要な場合どうすればいいか?

公害防止管理者が必要な特定工場についておわかりいただけましたか?

では必要な場合、具体的に何をやらなければいけないのか?必要な手続きは以下のとおりです。

公害防止管理者の選任および解任時の届出

まずは公害防止管理者を選任しよう

まず公害防止管理者を選任すべき事由」が発生した日から、60日以内に公害防止管理者を選任しなければなりません。

この「公害防止管理者を選任すべき事由」とは、具体的には以下の場合です。

  • 施設を新設または増設した時
  • (選任していた公害防止管理者が)人事異動や退職、死亡等した時
  • (選任していた公害防止管理者を)解任した時

なお、「施設を新設または増設した時」とは、特定工場になった日であり、通常は、該当する特定施設を設置した日になります(操業開始日や工事開始日ではない)。

公害防止管理者が不在の期間があってはいけません。

公害防止管理者の選任届出を提出する

公害防止管理者を選任したら、30日以内に届出書を提出する必要があります。

提出先は「特定工場の所在地を管轄する都道府県知事」ですが、政令指定都市や中核市などの政令市の場合は、市長になります。つまり前者は都道府県庁、後者は市役所です。

※ 参考までに公害防止管理者(代理者)の選任・解任届出書の様式を記載します。

解任したら解任届出を提出

通常、選任と解任はセットになり、解任した旨を選任の届出書内に記入します。

公害防止統括者、公害防止主任管理者、代理者の届出もお忘れなく!

前述のとおり、公害防止管理者の不測の事態に備え、代理者を選任しなければなりません。


また、特定工場の場合、公害防止統括者、公害防止主任管理者が必要になるケースがあり、それぞれ選任、解任の届出が必要なのでお忘れなく。

まとめ

公害防止管理者の役割、どんな場合に必要か、また必要な場合何をすればいいか、ご理解いただければ幸いです。以下にまとめます。

まとめ

公害防止管理者になるには国家資格(水質関係)が必要
水質関係は、第1、2、3、4種の4種類の資格がある
公害防止管理者が必要なのは、特定工場に該当する場合
特定工場に該当するかは、業種、特定施設の種類、排出水量で決まる
公害防止管理者を選任または解任したら、届出書が必要

TAROさん
TAROさん

最後までご覧いただきありがとうございました。

※公害防止管理者の試験対策に必須な「新・公害防止の技術と法規」とは、こんな本です。下記からどうぞ。

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元行政職員。主に環境行政を担当し、環境法令に基づく届出や許認可の審査、また年間100社以上の工場や事業場への立入検査をしてきた実務経験があります。公害防止管理者などの国家資格有り。環境法令について、実務を担う方などがわかりやすく学べるようやさしく解説しています。

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